最新揚陸艦ニューヨーク

2009年11月4日(水)

2日にハドソンリバーの埠頭に、海軍の新型揚陸艦ニューヨークが入港。一般公開が始まった。ただの揚陸艦ではない。911で崩壊した世界貿易センターの残骸鉄骨7.5トンを船首に使用した。

911追悼のため、ツインタワーがデザインされた塔もついている)
このため、ルイジアナ州から出港し、ハドソンリバーに入って来た時は、水先案内人にいたるまで、消防士の弟を失ったという911遺族が選ばれた。ニューヨーク・ポストには、「テロと戦うための揚陸艦911の鉄骨で作られ、それに乗れるのは名誉だ」などといった、海兵隊の愛国的コメントが大きく扱われた。ルイジアナ州からの船旅では女性海兵隊員のブログも掲載していた。
驚いたことに中は全面公開で、揚陸艦を動かす海軍兵と、それに乗り込んで上陸戦に備える海兵隊員が、一般人を迎えた。
本物の銃や装備を身につけて、子供たちが目をきらきらさせて興奮し、これはまたとない軍隊のリクルートのチャンスだと痛感した。こうして、戦争をする国に慣れていく。

(この得意そうな顔が・・・)

海軍の船に運んでもらうものの、最初に歩兵として上陸し、ヘリコプターを操って歩兵を支援する海兵隊は、「俺たちは陸海空と違う」という自尊心がある。市民もそれを知っているから、尊敬するし、とてもちやほやする。
戦車の中にも入ってみた。運転席は一人分の肩幅のタコ壺のようか空間しかないので、ちょっと遠慮。一緒に戦車によじ登った年配のおじさんも、「俺は狙撃兵席しか座らないぞ!」と言って、海兵隊を喜ばせた。このおじさんと一緒に、狙撃兵席のアシスタントの席に入ってみる。

戦車砲の弾を詰める場所)
直径10センチほどの爆撃弾を、目の前の棚から取り出して、真横にいる別の兵士に渡す。その兵士が戦車砲の中に弾を詰めて、彼の足の間に座っている狙撃兵が狙いを定める、という極めてマニュアルな作業だ。しかも、この狭い閉鎖空間に3人も座っている。もちろん冷房もない。こんな手の届くところから発射されるのでは、音も並大抵じゃないだろう。とてもじゃないが、私はごめんだ、ということを確信した。

揚陸艦の出口には、世界貿易センターの姿が縫いこまれた旗があり、「決して忘れない Never Forget」という艦の標語が書かれていた。