カイロ、ぼられて、助けられてドタバタ取材記

5月22日(火)

初の「自由で、公正な」選挙と言われる、エジプト大統領選挙を前にカイロ到着。
空港からのタクシーで、注意していたのにも関わらず、英語が通じないのか(通じないふりをしているのか)、いきなりぼられて、40ドルも払った。ニューヨークでJFKに行くまでの料金にもならないが、国民の4割が貧困層で、一日2ドル以下で暮らしている国で40ドルも払わされて、深く反省。
それにしても、混沌としている。通過するのに1時間弱かかったタハリール広場は、縦に横に車が割り込む大渋滞なのに、警察官も信号機もなし。通行人も平気で車の間を歩いている。でも、女性の通行人はすごく少ない。恐らく昨年の革命で破壊された信号機や道路標識がポールからぶらさがっている。

タハリール広場、中心部分は以前は緑の芝生だったし、信号機もあった)
ホテルに着いて、朝食、間食、夕食、新聞がついてくるラウンジクラブに入るように勧められて、迷いなく入った。この状況では水を買いたいとき、お腹がすいた時に、食事するところを探しているうちに何が起こるか分からないし、ぼられるのを避けるために値段の交渉をしてイライラしている時間ももったいない。ところが、食事の心配から入ったこのラウンジが、ラッキーだった。
タハリール広場を一望することができるため、去年の革命時は記者クラブのようになり、観光客が治安を恐れて激減している中、またもや記者クラブのようになっていた。
すぐに、米CBS、FOXや英国の新聞の人と話が始まり、現地のフィクサーや運転手がいないと分かると、みなで取材先を紹介してくれる親切さ。中東は記者どうしが助け合うところらしい。
外出するにあたり、メディアの人と、ラウンジのコンシェルジュ若い女性に同じ質問をした。「エジプトでしてはいけないことは何?」
「女性は人前で煙草を吸わない」
「素足が出た服装はトラブルの元」
「宗教人や年配の男性と握手をしない」
「人のスナップ写真を撮る時は要注意」
「取材ではない場合、知らない人と話し込まない」
以前レバノンに行ったので、大体予想はしていた内容だが、カメラの件は役に立った。レバノンでは、人々がはにかみながらも、被写体になってくれた。若い男女の瞳を至近距離で撮ったこともある。カイロはそうはいかないらしい。
コンシェルジュの女性は、手の平サイズのデジカメを見せてくれて、「これでもたまにトラブルになる」と教えてくれた。
CBSが国営テレビのプレスセンターに、プレスバッジを取りに行くのに連れて行ってくれたときも、カメラは持って来ないように言われた。去年はメディアが攻撃対象になったため、私の背の高さもある鉄条網の束で囲まれていて、プレスセンターに「機関銃」の兵士が構えていた。
その後、埃でむせながら、タハリール広場を歩いてみて、スカーフをカメラレンズにテープで貼付けて、首から下げているカメラが分からないようにしてみようかと思った。
投票日は23、24日。