マックの朝の物乞い

2009年8月27日(木)

午前10時ごろ、仕事をしていて眠くてしょうがないので、マック・カフェをもう一度試しにマックへ。さすがにマックだけあって、非白人客が多い、と思っていたら。。。

若いヒスパニックの男性がさっそうと入ってきて、いきなり「朝食が食いたいんだ、なんとかしろ」といばった調子で言って、お客を物色し始めた。
入り口から2席目にいた私と、3席目の年配女性二人連れは無視して、4席目にいた親切そうな白人女性に寄っていく。「朝食が欲しいんだ」。彼女はお財布を出しにカバンに手を入れた。当然、小銭をもらうんだと思うと、彼、「5ドルでいいよ(I take five dollars)」
えーっ、そんなのあり?朝食を買ってお釣りも出る、と思った途端、隣にいた太った白いホットパンツの白人おばさんが爆発した。
「あんた、そんなことする権利はないわよ!出てきなさいったら、出てけ!なんであんたみたいに若いやつに、5ドルもやんなくちゃいけないのよ、仕事をみつけたらどう?恥を知れ!」
「恥を知れ!あんたが俺にそんなことを言う権利はない!」
ヒスパニックが銃を持っていたら、大変なので、椅子の下に隠れるスペースがあるか、新聞を読むふりをして、こっそり下をのぞいてみる。激怒おばさんの連れである、年配のおばさんも固まったまま、きょろきょろしていて、恐らく同じことを考えている。
激しい言い合いが続いたが、明らかに声の大きさでヒスパニックが負けて、彼は悪態をつきながら、店を出て行った。
あー、よかったと思ったら、今度はヒスパニックの女性がどこからか飛んできて、激怒おばさんに言った。
「ものすごく、勇気ある行為だわ、ありがとう」
おばさん「彼をここで見たのは3回目よ。毎回、いい服着ていて、靴なんか私よりいい靴よ。ハンディキャップでも病人でもないし、困り果てている様子でもないじゃない。あたしは、シティ・ハーベスト(食品店のゴミから新鮮なものをホームレス家族に配る)に毎週15ドル寄付しているのよ。困っていもいない若いやつになんで、恵んでやんなきゃいけないわけ?働けっていうのよ」
と、同意を求めて私の腕をつかんだ。何か言わないといけない。
「5ドルも要求したんでびっくり」
と言うと、5ドルという金額がまた怒りを呼び起こしてしまい、しばらく鬱憤晴らしが続いた。

職のない人たちが、お金を恵んでもらう方法にはいくつかある。
1、「ホームレス、ジョブレス、友達もいなくて、病気です」といったカードを立てて、うなだれて道端で座っている
2、M&Mチョコなどを売りつける
3、地下鉄の中で音楽を演奏する
4、地下鉄の中で、「こどもが3人います。一人病気だけど、失業しました。何でもいいですから、助けてください」と演説をする。お金や、ときには食べ物がもらえる

今朝のヒスパニックは、上記の4点からはるかに逸脱している。でも、何が起こるか怖くて、お金を渡す人も少なくないのだろう。

激怒おばさんが去り、連れのおばさん(エルバと名乗った)が話し掛けてきた。
「ほんとうに5ドルって言ったの?私だったら怖くて払っていたわよ。だって、彼が何者か分からないでしょ。銃を持ってたかもしれないし」
次の言葉もうなづけた。
「彼女があんなに騒いだのに、マネージャーは出てこないし、こんなにたくさんいる男性も誰も助けに入らないなんて、ショックだわ」
そしてこう付け加えた。「Only in New York」。