クロンカイト=ニュースという時代

2009年7月19日(日)

17日(金)の晩に、CBSアンカー、ウォルター・クロンカイトが亡くなり、週末は彼の追悼ニュース一色だった。92歳。
1962−81年までCBS Evening Newsでアンカーだから、私は彼の放送を見たことはないが、週末は、彼がJFKの死を告げ、メガネを外して、目をしばたく映像が繰り返し流れた。

(短いビデオ、1963年11月22日)

(死亡の通信社電を読むまでの5分ぐらい。JFKが着くはずのダラスの会場で涙ぐむウェイターや、ニューズルームの様子がよく分かる)
「クロンカイト=ニュース」、「アメリカで最も信頼できる人物」と呼ばれ、圧倒的な影響力を持っていた。いまどき、こんな風に呼ばれる人はいないだろう。なぜ彼はビッグだったか。以下は新聞から分析したこと。
http://www.nytimes.com/2009/07/18/us/18cronkite.html?_r=1&scp=1&sq=walter%20cronkite%20voice%20of%20TV%20news&st=cse(ニューヨーク・タイムズの追悼記事)
1、ネットワーク・テレビが圧倒的な影響力を持っていた最盛期だった
インターネットはもちろんなかったし、CATVは勢力が弱かった。ネットワーク・テレビのシェアは8割以上あった。ケーブル局のCNNは1980年開局で、人々がニュースを得るのは、もっぱら夜の「テレビ」だった時代。
2、自分で取材し、信頼性を高めた。
通信社UPIの前身United Pressの記者として、ノルマンディー作戦やドイツ爆撃作戦に従軍取材した。その後、CBSに移るが、初めてスタジオからでなく、記者がいるニュースルームから放送した。
ベトナム戦争も取材し、政府発表とは異なり、「泥沼にはまっている」と現実的な報道をした。当時のリンドン・ジョンソン大統領は、「クロンカイトを失ったら、アメリカ人のコアを失ったも同然だ」と嘆いた。
アンカーが現場に行く手法は、今ではCNNなどで当たり前だ。つまり、クロンカイト・スタイルだったわけだ。
日本のテレビでアンカー(ニュースのまとめ役)という呼び名がなく、「アナウンサー」というのは、記者が書いている原稿をアナウンスしているからだ、と気が付いた。
番組の最後に’And that’s the way it is.’というのがトレードマークだった。日本語では訳しにくい。「(今日は)こんなところです」と、ニュースの最前線にいながら、淡々とした皮肉っぽい感じを出したかったのだろう。
この言葉は、ニューヨーク・ポストの追悼記事の見出しになっていた。

きょうのオバマ  ↓


クロンカイトにビデオ追悼演説。「ブログとeメールと携帯電話のなかった20世紀、彼こそがニュースだった」