保険と主治医制度

2009年7月18日(土)

17日(金)、記者団にわずか2時間前に突然知らせて、オバマがスピーチを夕方行った。医療保険改革についてである。クリントン政権で失敗した改革を成功させなければ、有権者にそっぽを向かれる。賛成、反対双方の(つまり、リベラルと保守)テレビCMもじゃんじゃん流れ、議論が高まっている。

CBSとのインタビュービデオ。
http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-by-the-President-on-Health-Care-Reform/(15日に行ったスピーチ)
http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Weekly-Address-President-Obama-Says-Health-Care-Reform-Cannot-Wait/(18日のスピーチ)
保守派は「医療保険改革で、国民保険(national insurance plan)を導入すると、財政赤字が膨れ上がる。こんなものを子孫に残していいのか」と反発。
記者会見でオバマは「改革に必要な財源の3分の2は、コスト削減でまかなえる」と反論。じゃ、あとの3分の1は? オバマが強調するのは、国民が民間保険に煩わされ続けると、将来にはGDPの4割ちかくが医療費負担に回されることになる、という。

保険もさることながら、この国の「主治医」制度は大問題だと思う。
これは一つの例。主治医が行った健康診断で、胃の壁に突起が見つかった。主治医が胃を専門とするA先生に紹介状を書いて、レントゲン写真を持たされ、A先生のところに行った。A先生はレントゲン写真を見て、
「私の持っている胃カメラは正面にカメラが付いているので、この突起は撮影できない。側面にカメラが付いた胃カメラを持っているB先生のところに行きなさい」
そして、また紹介状とレントゲン写真をもらった。ここで私はあきらめて、日本に帰国して側面カメラを飲んで、腫瘍ではない上に、アジア人にはよくある突起物だと分かった。日本人の医者は「主治医は知らなかったんですかねえ」。
これが腫瘍だったら、ニューヨークではどうなるか。
腫瘍のサンプルを採るために、B先生がC先生に紹介状を書く→C先生がサンプルの結果を、D先生のラボに回す→D先生から私に連絡が届き、主治医のところに行って、ラボの結果を聞けという。
腫瘍が悪性で、治療はといえば、主治医→E先生、とまた別の紹介状が発生するだろう。
日本は総合病院に行けば、すべてワンストップだ。主治医が休んでいても、ほかの先生が責任を持ってみてくれる。