潘基文とユダヤ人

2009年6月10日
10日午後1時前、ワシントンのホロコースト・メモリアル・ミュージアムに、白人至上主義の男性(88)が、銃を持って入館。ガードマンを一人射殺した。直後の撃ち合いで、ガンマンは重傷を負い、病院に運ばれた。
http://www.nytimes.com/2009/06/11/us/11shoot.html?_r=1&ref=us(地図あり)
ミュージアムは、ホワイトハウスから数ブロックしか離れていないため、騒然となったワシントンの様子が、テレビのどのチャンネルでも流れた。

その数時間後、まったくの偶然だが、ユダヤ人の団体の会合に出る予定で、しかもゲストスピーカーは国連事務総長潘基文(バンキムン)という特別な晩だった。
B’nai B’rith Internationalは、ワシントンとニューヨークで、ユダヤ人のビジネス界と、世界の外交官を集めて、相互理解を深める、というより、ユダヤ人の文化や立場をアピールする目的の団体だ。
ニューヨークでは、友人で65歳の元気おばさん、ハリエット・マンデルが、懸命に人集めをし、ユダヤ文化の紹介などをしている。

内容はオフレコだが、潘事務総長はスピーチで、午後の銃撃事件には触れずに、
「私は、反ユダヤ人主義には、断固として間違っているという立場をとっていく」
と一言だけ言った。

Q&Aでは、若いユダヤ人からホロコーストについての質問があり、潘事務総長は、
ホロコーストは、最も許されるべきではない犯罪だ」
と述べた。会合はスタンディング・オベーションで終わった。

この会合に出席し始めて、ほぼ1年が経つ。同会の意味がいまいち飲み込めなかった。
が、銃撃事件直後に、事務総長という国連トップに対して、ユダヤ人に対する理解を必死に求める彼らをみて、同会の存在意義を改めて思い知らされた。