タイムズ、薄くなったものの

2009年8月8日(土)

メディア業界に詳しい茂木崇さんが、取材と研究でニューヨークに滞在中ということでお会いした。東京工芸大講師・編集者・ライター(?)とマルチな人だ。
20年余りニューヨーク・タイムズを購読しているという、かなりの愛読者。
「近頃、新聞が薄くなった」とこぼすと、
「いえ、90年代の水準に戻っただけです。記事の内容は減っていないでしょう」
と一蹴された。
とはいえ、タイムズが「灰色の貴婦人」と呼ばれたころに比べると、かなり論調がやわらかく、万人向けになってきているという。
茂木さんが書いた、誇り高きタイムズがなぜ、外部執筆者を取り入れたOp-Ed(社説の反対側のページのこと)を始めたかという論文。
http://nels.nii.ac.jp/els/110002954984.pdf?id=ART0003311625&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1249847894&cp=

確かに、「薄くなった」とぼやくのも勝手な話で、以前の国際・内政分冊はデパートの派手な1ページ広告でページが増えていた。あと、あまり厚いと読みきれないという実態もある。正直いうと、薄くなった今、私にはちょうどいい分量だ。つまり、ざっと目を通して、読みたい記事を選別し、大体それだけは読み切れるという「厚さ」になった。
しかし、私は外国人なので、以前、「言葉の魔術師」である詩人の知り合いに、タイムズにどのくらい時間をかけて読むか聞いてみた。80歳ちかい車椅子の彼は、「1日2時間。贅沢なひととき」と答えた。
ちなみに、一番分量がある日曜版の主な記事を全部読むという実験をしてみたことがある。空いている時間をなるべく使って、2日間かかった。