沖縄・辺野古、基地問題

16日、ニューヨークにやっと戻ってきた。少し戻るが、沖縄のことを書いておく。

2009年11月7日(土)

那覇から路線バスに2時間半乗って、辺野古に行った。米軍の海上ヘリ基地建設予定地で、長年付近の市民や住民が反対の座り込みをしている。


米軍が辺野古で発着訓練を予定しているヘリコプターは、マンハッタンで3日前、戦艦ニューヨークに積載されているのを見た。偶然だ。こんな大きなヘリがあるのか、と驚いたが、これが2004年8月、沖縄国際大学キャンパスに墜落したCH53と同じ型だった。

(戦艦ニューヨークに搭載されていたCH53)

辺野古の浜辺近くに、「何度も墜落しています」というポスターが貼ってあった)
http://www.okiu.ac.jp/gaiyou/fall_incident/index.html
(ヘリ墜落事故について。沖縄国際大学のHP)


最初から座り込みを続けている人たちは「命を守る会」の人たち。戦後、食べるのに困ったときに、辺野古の海は、食べるものを提供し、自分たちの命を守ってくれた。今度は自分たちが海の命を守る番、という。

http://henoko.ti-da.net/index_2.html(「辺野古浜通信」。日々座り込みの様子を伝えるブログ。バスで行く前に読んだら、とても役立った)



2009年11月8日(日)

1995年沖縄を訪れた際、友人が米軍基地の中を視察してみる市民の会に連れて行ってくれた。広大な緑の芝生に囲まれた将校の住宅地を抜けて、崖を降りると、昨日の辺野古の海のような美しいプライベート・ビーチだった。基地の外に住む人との住環境の差は、ショックだったのを覚えている。

8日、宜野湾市で開かれた県民集会(正式名称「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民集会」)に行った。主催者発表で、21000人集まった。
日本で一万人以上集まる集会があるということを知って驚く。1995年、女子小学生のレイプ事件をきっかけに開かれた県民集会は、8万5千人集まったという。

壇上に立った各自治体の長、市民団体代表は「沖縄・普天間基地は、世界で最も危険な基地。事件・事故は多発。それなら、人口が少ない辺野古にというのは、間違っている。なぜ、沖縄だけが、基地の負担をこれ以上背負わなくてはならないのか」と訴えた。
カンパはなんと251万円も集まった。
辺野古で10年座り続けているシマブクロさんに話を聞いた。
「こんなに長くかかると思わなかったんですよ。辺野古に基地はあるけど、ヘリポートはうるさいでしょう。どうして、こんなことになったのか。オバマさんに会いたいです。60年間押し付けられてきたってね、言ってください」
マスコミの注目を一番集めたのは、息子と娘を連れてきた渡具知武清さん一家だった。
オバマさん、この子達のために、大浦湾(辺野古)が埋められるのは、あきらめきれません。寝る間も惜しんで、戦ってきました」
と涙ながらに訴えた。小6の長男も
「鳩山さん、僕たちのために、基地を作らないという約束を守ってくださーい」
と訴え、渡具知さんはまた涙ぐんだ。

集会のあと、空港に直行し、夜中に東京に着いた。
集会のニュースの扱いは東京では驚くほどとても小さかった。翌日朝刊は休刊日だったため、ぎちぎちの夕刊に、沖縄のニュースは詰め込まれた。
現地の沖縄タイムズ、琉球新報は、7日に県知事がワシントンを訪れたこともあり、一面がワシントン、解説や社会面も基地の問題でいっぱいだった。県民集会の会場では、両紙ともに号外を出した。テレビ、新聞ともに記者であふれ、東京から出張組を出している民放も見かけられた。しかし、東京と沖縄では、ひどく「温度差」がある。


2009年11月11日(水)

有楽町の外国特派員協会に行ったら、偶然、伊波洋一宜野湾市長や翁長雄志那覇市長らによる緊急会見が開かれていた。二人は、県民大会の共同幹事。日本のマスコミは、テレビカメラがずらりと並んだものの、明らかに外国メディアの記者というのは、全体の1割に満たなかった。
http://mainichi.jp/select/world/news/20091111ddm002010110000c.html
私が辺野古を訪れた前日は、ニューヨーク・タイムズのマーティン東京支局長が辺野古に来て、反対派住民が沖に船を出してあげた、と数人の住民から聞いた。住民は、外国メディアが取材に訪れ、世界に辺野古の情報が発信されるのをとても喜んでいた。しかし、 支局長は2日後の県民集会は取材せずに帰ってしまったようだ。
民集会で私が認識できた外国メディアは、AFPとAPのカメラマンだった。
http://www.post-gazette.com/pg/09316/1012925-82.stm(タイムズ、マーティン・ファクラーの沖縄の記事。日米で一度合意した普天間移転は、長年にわたる東京のお役所仕事と鳩山政権の発足で、結論が先送りにされ続けているという報道。12日付けで、オバマの来日に合わせて書いたことが分かる。ちなみにタイムズは一貫して、基地移転問題は日本の問題という立場)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8349083.stm(県民集会を報じたBBCの記事。こちらのトーンはやや沖縄の新聞に近い)